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黒川博行「連鎖」

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黒川博行の新刊「連鎖」を読み終えた。
昨年2月に読んだ「熔果」で黒川博行を知り、面白かったので新刊「連鎖」も読んだ。

本作「連鎖」と伊達・堀内が主人公の「熔果」(2021年11月)には、バディ物でロードノベルという共通点がある。

ただ「連鎖」の2人(磯部と上坂勤)は京橋署防犯係の刑事なので、派手な立ち回りはない。それどころか、上司への報告と上司からの指示がついて回る。捜査をするなかで浮上する関係者への聞きこみと携帯やレンタカーの会社への捜査協力依頼とNシステムや犯罪歴照会へのアクセスを中心とした地味な操作を積み重ねているのに飽きがこないのは、掛け合いの面白さもあるし、少しずつでも前に進んでいるという感覚を得られるから。

捜査の舞台となる大阪・和歌山に土地勘がないので、位置関係を立体的に想像できなかったのは残念だったが、それでも一気に読み通せる面白さがあった。

「熔果」と「連鎖」に共通して多様な飲食店に寄るが、主人公2人の経済力の違いが店選びにも表れていてリアリティがあった。

他にも「熔果」で移動に使った車は堀内の買ったBMWのZ4で、本作「連鎖」は警察の公用車を使用と、2冊を読み比べることで共通することと異なることが見えてくるので、セットで読むことをお勧めします。