「今日拾った言葉たち」武田砂鉄
歴史の軽視を食い止めるのは、いつだって、「一粒の砂」なのだ。
2023年の2冊目。
「集めた言葉」だと、何かしらの狙いやフィルターが見える。目的ありきのことばというか。
「拾った言葉」なら、「集める」より無防備な印象を受ける。
「気鋭のライダーが心の網にかかった言葉を拾い上げ、その裏に隠れた本音に根気よく迫る社会批評集」と帯にある。オブラートに包んだ言葉もあるし、本音の言葉もあったから「隠れた本音」は違うと思う。
単純に、誰かの言葉により考えを広げていった文章であると感じた。
安倍や麻生の国民を舐めた言葉も載っているから単純な名言集ではなく、考えを広げるきっかけとなるような言葉が載っています。
本書は雑誌「暮しの手帖」での連載をまとめたもの。
連載期間は2016年から2022年6月にかけてであり、巻末に安倍晋三暗殺時にラジオで発した著者の言葉が自身で書き起こされ収められています。
安倍晋三暗殺で時代が動いたわけで、本書は動く前の時代の記録でもある。